みんなで考えるSDGs 第9回 「レジ袋有料化から1年経った今・・・」

みんなで考えるSDGs 第9回 「レジ袋有料化から1年経った今・・・」

2021/06/25

みんなで考えるSDGs 第9回 「レジ袋有料化から1年経った今・・・」

レジ袋有料化をあらためて考えてみよう
2020年7月1日から、経済産業省によるレジ袋有料化の義務化政策がスタートしました。(プラスチック製買物袋有料化制度
スタート当初は戸惑いの声も大きかったものの、今では街での買い物にエコバッグやマイバッグを使用している人も多く見かけるようになりましたのである程度は定着してきたのかなと思えます。
今回のコラムでは、レジ袋の有料化からおよそ1年経過した今、有料化が始まった経緯のおさらいから現状の状況や成果、そして今後の課題について少し考えてみたいと思います。

ではまず、いったいなぜレジ袋有料化が始まったのでしょうか?
これはプラスチックごみの問題が国際的な社会問題となっていたことが大きなきっかけです。
写真画像のような光景が新聞や雑誌で記載されたり、有識者による環境破壊による地球温暖化の警鐘、また海の生態系を破壊しているショッキングな映像がニュースで取り沙汰されたりして胸を痛めた方もいたのではないでしょうか。
このような背景があり「海洋プラスチックごみの削減」「環境への対応」「廃棄物・資源制約」などの社会課題を解決するために普段何気なく貰っているレジ袋を有料化することで、私たちにそれが本当に必要なのか考え、ライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。いわゆる啓蒙ですね。

やはり、有料というのは効果ありますよね。みなさん【無料・タダ】って言葉が大好きですからね。今までは無料、貰って当たり前の日常がある日を境に「お金出さなきゃあげないよ」に変わるわけです。そりゃぁ「いりません。結構です。」になりますよね。自分で袋を用意したり、両手で持てる程度の買い物ならレジ袋いりませんという人が増えるのは当然なわけです。

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有料化による変化
それでは有料化によって何が変化したのか?を考えてみましょう。
多種多様な変化が起こりましたが、その中から大きなものをいくつか拾ってみます。
(※全てのデータを確認して書いているわけではありません。あくまで個人レベルの感想と捉えてください)


◇ レジ袋を貰わなくなった
実際有料化以降はレジ袋の受け取り辞退率がおよそ80%(有料化前は約57%)、レジ袋の流通量は35%減といった調査結果も出ているようです。
冒頭にもあげましたが、”店頭での”レジ袋の削減という意味では一定の成果が出ているのではないでしょうか。

◇ 環境への意識向上、行動変化
レジ袋有料化に関する消費者の環境意識調査結果を見ますと、環境への意識が高まったと答える人がどの年代でもいますので、これも成果の一つではないでしょうか。
また、これをきっかけに他のプラスチック製品、特に包装容器や緩衝材などへの意識も高まったのではないでしょうか。
私自身の体験談で言いますと、コロナ禍もありネットショッピングによる届いた商品の【開封の儀式】が子供の目に留まる機会も増えました。
その中でよくあるのが、小さな商品が無駄に大きな段ボール箱の中に大量の緩衝材と一緒に入っているのを見つけると
「こういうのが地球環境を悪化させるんだよ~!」などと声をあげ怒るようになりました。
理由を聞いてみると、エコバッグを使うようになりエコについて考えるようになったと教えてくれました。
また、学校の授業でもSDGsについて勉強しているという側面もあるのでしょう。
ただその際には【なぜ過剰包装をしなければならないのか?】という企業側の視点、消費者側の問題の事も話して聞かせるようにはしていますが、それはまた別の機会にでも・・・。

◇ プラスチック以外のecoを意識した袋の登場と開発
有料化の対象外となっている、生分解性プラスチック袋やバイオマスプラスチック袋の開発を各企業が積極的に開発、導入を進めましたね。
新しい技術の確立や将来性という意味ではこちらも成果の一つと捉えることができるでしょう。
ただし後述しますが、こういった一見環境に配慮した袋も「温暖化の面での弊害」「環境負荷への軽減効果は低い」
とする国際的な機関からの報告書も出ていたりしますので、一方向からの情報を鵜呑みにしない方が良いかもしれませんね。

みんなで考えるSDGs 第9回 「レジ袋有料化から1年経った今・・・」

今後の課題
レジ袋の有料化は本当に地球環境に優しいのか?有料化≠プラスチックゴミの減少
エコバッグの製造の環境コストによる落とし穴について



それでは最後に今後の課題について考えてみます。有料化によるエコバッグの普及。私たちはエコバッグを使用することでエコを”達成”していると考えがちですが、それは少し違います。
例えばエコバッグについて最近では「レジ袋を買って複数回使う方がエコ」といった指摘もなされています。これはエコバッグを使う機会が増えても相変わらずポリ袋を使う機会も多く、何割かは減っているがプラスチックゴミ問題全体からすると正直期待できないとの意見です。また、エコバッグを製造する環境コストを問題視する声もあります。製造し運搬し人が動くという環境負荷だそうです。エコバッグを洗うことで水の汚染が発生したり、水を運ぶ際のエネルギーによるCO2の排出量の増加などで更に環境負荷は高まっている可能性もあります。

有料化でエコバッグを持参することは決して悪い事ではないです。環境を意識するきっかけになるからです。
政府もレジ袋有料化の一番の目的は、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの解決に向けた第一歩であるとともに、ライフスタイルの変革促進だと掲げています。
レジ袋削減が実現できたとしても、今すぐにプラスチックごみ全体を大幅に減らすことは難しいでしょう。
大切なのは常に意識を持って行動することです。ポリ袋を買って使ってもいいのです。
「今日は3枚使ったから明日は0枚で過ごせるように考えてみよう」とか、レジ袋だけではなく、「今日は時間があるから車はやめて自転車にしてみよう」でもいいのです。
トータルで環境意識を持つこともレジ袋有料化の目的なのですから。

私はマイバックを常に持ち歩いています。
状況によっては、有料の袋を購入しますし、無料のビニールも使用します。しかし、必要以上には貰わないようにしています。
「完璧を目指さなくとも、できることから始めて、継続しよう。」
私はそういう心持ちで毎日を過ごしていけたらいいなと思っています。

SDGsコラム担当:Okubo
監修:Kazuhiro Sumiya


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